概要
デバイス診断ツールには、次の2つの操作モードがあります。
- 管理者モード:管理者がアプリの設定、テストの設定の変更、各テストを実行するモードです。これがデフォルトです。
- ユーザーモード:ユーザーが行えるのは全テストの実行だけに制限されます。アプリとテストを設定したり、テストを1つずつ実行したりすることはできません。ユーザーモードに設定するには、「設定」セクションの説明に従って、admin_modeを無効にしてください。
アプリの起動
デバイス診断ツールを起動するには、次の2通りの方法があります。
- デバイスのユーザーインターフェイスから手動で起動する:デバイス診断ツールを手動で起動してテストを実行します。下の「ユーザーインターフェイス」セクションを参照してください。
- EMM(Enterprise Mobility Management)システムでリモートから起動する:次のコマンドを使用してデバイス診断ツールをバックグラウンドで起動してログファイルを生成します。
adb shell am broadcast -n "com.symbol.selfdiagnostics/com.symbol.selfdiagnostics.SESReceiver"
必ず、どちらかの方法だけを使用してください。両方を使用すると、予期しない動作が発生する可能性があります。
デバイスのテスト
アプリを初めて起動したときは、メイン画面に実行可能なテストが表示されます。
メイン画面
テストが既に実施されている場合は、テスト名の後ろに前回の実施日時が表示されています。
メイン画面に表示されている全テストを実行するには、RUN TESTS(テストの実行)をタップします。それぞれのテストは、Configure Tests(テストの設定)画面で行われた設定に従って実行されます。テストの中には、開始後にユーザーの介入を必要とするものがあります。これらのテストは、スキャナー、ボタン、タッチスクリーン、およびオーディオのテストです。どのテストも、デバイスを通常使用しているのと同じ状態で実行してください。クレードルに装着したり、USBケーブルでコンピューターに接続したりしているときに、テストを実行しないでください。テストが完了すると、その結果が表示されます。
Pass(合格):テストに合格しました。判定基準を満たしています。
Fail(不合格):不合格です。判定基準を満たしていません。
Information(情報):テストで得られたデータが表示されます。
管理者モードでは、テストを1つずつ実行できます。実行したいテストをタップしてから、RUN TESTS(テストの実行)をタップしてください。
不合格とタイムアウトになったテストの両方に、感嘆符の入った赤い三角形が付きます。
メイン画面の右上隅をタップするとHelp(ヘルプ)オプションを使用できます。このオプションは、デバイス診断ツールのサポートポータルにリンクしています。
スキャナーテスト
テストを開始すると、バーコードをスキャンするようにというメッセージが表示されます。テスト結果は次のとおりです。
- Scanner Test(スキャナーテスト):バーコードのデータが表示されます。
- Label Type(ラベルの種類):バーコードの種類、または使用されたデコーダーが表示されます。
注:TC55でスキャナーテストを実行するときは、バーコードが正しく認識されるようにスキャナーボタンを長押ししてください。
ボタンテスト
テストを開始すると、デバイスのスキャン開始(左または右)、通話、音量大、音量小の各ハードボタンを押すようにというメッセージが表示されます。テスト結果は次のとおりです。
- Button Test(ボタンテスト):合格、不合格、またはタイムアウト。
注:ハードボタンの機能を再割り当てしている場合は、ボタンテストが正しく実行されません。
タッチスクリーンテスト
テストを開始すると、画面のそれぞれの区画にタッチするようにというメッセージが表示されます。テスト結果は次のとおりです。
- Touch Screen Test(タッチスクリーンテスト):合格、不合格、またはタイムアウト。
Bluetoothテスト
Bluetooth通信機が機能するかどうかをチェックして関連情報を返します。テスト結果は次のとおりです。
- Name(名前):Bluetooth通信機の名前。
- Radio Power Cycle(電源の入/切):合格または不合格。通信機がテスト開始前の状態に戻ります。
- Functional/Non-functional(機能状態):functional(機能している)またはnon-functional(機能していない)。
- Discoverable/Connectable(検出可能/接続可能):connectable(接続可能)、discoverable(検出可能)、またはnone(なし)。
Wi-Fiテスト
Wi-Fi通信機が機能するかどうかをチェックして関連情報を返します。テスト結果は次のとおりです。
MAC Address(MACアドレス):valid(有効)またはinvalid(無効)。
Network Test(ネットワークテスト):接続済みまたは切断。ネットワークに接続されていないとエラーが発生します。通信機がテスト開始前の状態に戻ります。テストに合格すると、次の情報が表示されます。
- strength(強度):信号の強度。
- ip:IPアドレス。
- bssid:valid(有効)またはinvalid(無効)。
- speed(速度):通信速度。
バッテリーテスト
バッテリーの状態をチェックして関連情報を返します。テスト結果は次のとおりです。
- Part number(部品番号):バッテリーの部品番号。
- Serial number(シリアル番号):バッテリーのシリアル番号。
- Manufacture date(製造日):バッテリーの製造日。
- Battery Health(バッテリーの状態):バッテリーの状態。
- Good(良):バッテリーは良好な状態です。
- Need to replace battery(交換が必要):バッテリーの充電回数(PowerPrecisionバッテリーの場合)または内部のZebraフレームワークから取得された設定(PowerPrecision+バッテリーの場合)がバッテリー交換のしきい値に達しました。バッテリーを新品に交換する必要があります。
- Unknown(不明):バッテリーの状態のデータを取得できませんでした。
- Voltage(電圧):バッテリーの電圧。
- Current(電流):バッテリーの電流。
- Temperature(温度):バッテリーの温度。
- Level(残量):バッテリーの残量を%で示します。
- Current Capacity(放電容量):バッテリーの放電容量をmAh(ミリアンペア時)単位で示します。PowerPrecision+バッテリーだけでサポートされています。
WWANテスト
WWAN通信機が機能するかどうかをチェックして関連情報を返します。テスト結果は次のとおりです。
- Sim State(SIMカードの状態):機内モードをオフにする必要があります。次のいずれかの値が表示されます。
- Present(あり):SIMカードが存在します。
- Absent(なし):SIMカードが存在しません。
- Voice State(音声通信の状態):次のいずれかの値が表示されます。
- Voice in service(音声通信可能)
- Voice out of service(音声通信不可)
- Voice Emergency only(緊急連絡用のみ)
- Voice power off(電源オフ)
- Unknown voice(不明)
- Data State(データ通信の状態):次のいずれかの値が表示されます。
- Data connected(データ通信可能)
- Data disconnected(データ通信不可)
- Data connecting(データ通信網に接続中)
- Data suspended(データ通信一時停止)
- Unknown data(不明)
- WAN Type(WANの種類):LTE、2G、3G、4G、またはNot Available(利用不可)
- Signal Strength(信号強度):次のいずれかの値が表示されます。
- Not applicable(使用不可):SIMカードがありません。
- Unknown(不明):機内モードになっている可能性があります。
- Signal strength(信号強度):dBm単位で表示されます。
- Phone Number(電話番号):valid(有効)またはinvalid(無効)。サービスプロバイダーによって電話番号が開示されているかどうかによって異なります。
- Device ID(デバイスID):valid(有効)またはinvalid(無効)。デバイスIDが開示されているかどうかによって異なります。
オーディオテスト
デバイスのマイクとスピーカーの状態をチェックします。テスト結果は次のとおりです。
- Audio Test(オーディオテスト):合格または不合格。
SDカードテスト
外部SDカードの状態と情報をチェックします。SDカードを検出するには、SDカードをポータブルストレージとして取り付ける必要があります。SDカードを外部ストレージとして取り付けている場合は、DDTで検出されません。これは、SDカードをフォーマットする場合にも当てはまり、ポータブルストレージとしてフォーマットされたSDカードのみがDDTで検出されます。テスト結果は次のとおりです。
- SD Card(SDカード):「present」(あり)または「absent」(なし)
- Read(読み取り):passed(合格)またはnot applicable(使用不可)
- Write(書き込み):passed(合格)またはnot applicable(使用不可)
- Total Space(総容量):SDカードの総容量(GB単位)またはnot applicable(使用不可)
- Free Space(空き容量):SDカードの空き容量(GB単位)またはnot applicable(使用不可)
ファイルのアップロード
必要に応じて、設定ファイルとログファイルをデバイスからFTPサーバーにアップロードできます。アップロード可能なファイルは、テスト結果のログ、configuration.xml、履歴ログ、ステータスログです。この機能を使用するには、メイン画面右上隅にあるオプションメニューをタップしてUpload(アップロード)を選択します。
アップロード画面が開くので、次の設定を行います。
- Protocol(プロトコル):FTP(デフォルト値)だけを使用できます。
- IP Address(IPアドレス):FTPサーバーのIPアドレスを入力します(必須)。
- UserName(ユーザー名):ログインするユーザー名を入力します(必須)。
- Delete File From Device (デバイスからファイルを削除する):このオプションを有効にすると、ファイルのアップロード完了後に、デバイスからすべてのファイル(設定ファイルとログファイル)が削除されます。
設定画面でサーバーの詳細を入力した場合は、上記の必須項目の値が自動的に入力されているので、必要に応じて変更してください。
必要な設定が終わったら、アップロードをタップします。表示される指示に従って、FTP接続のパスワードを入力します。問題なくアップロードされると、DDTLOG_[TimeStamp(ddMMyyyyHHmmss)]_[device_identifier].zip
という名前の.zipファイルがFTPサーバーに保存されます。ここで、
- [TimeStamp(ddMMyyyyHHmmss)]は、2桁の日付と2桁の月、4桁の年、2桁の時間、2桁の分、2桁の秒から成るタイムスタンプです。
- [device_identifier]は、デバイス固有の識別子です。デバイスのAndroidプラットフォームに応じて、次のいずれかになります。
- UUID:Android 10以降
- Serial number(シリアル番号):Android Oreo以前
ジョブのスケジュールの設定
デバイスのテストが特定の時間に実行されるように、ジョブのスケジュールを設定できます。スケジュールを設定したジョブは、1週間に1度、指定した時間に繰り返し実行されます。ジョブが繰り返されないようにするには、ジョブを実行した後で削除します。ジョブのスケジュールを設定できるのは、ユーザーの介入を必要としないテストだけです。スケジュールを設定したジョブが実行されると、/storage/emulated/0/Android/data/com.symbol.selfdiagnostics/files/history.log
というログファイルに記録されます。
ジョブのスケジュールを設定するには、次の手順に従います。
- メイン画面右上隅にあるオプションメニューをタップしてジョブのスケジュール設定を選択します。
- ジョブのスケジュール設定画面で「+」ボタンをタップし、ジョブを作成します。
- ジョブを実行する時刻(時間と分)を選択します。
- デバイスで実施するテストを選択します。
- ジョブを実行する曜日を選択します。
- 画面右上隅にある保存アイコンをタップします。
既存のジョブのスケジュールを変更するには、次の手順に従います。
- ジョブのスケジュール設定画面のジョブ一覧で、目的のジョブをタップします。
- 必要な変更を加えます。
- 画面右上隅にある保存アイコンをタップします。
スケジュール設定済みのジョブを削除するには、次の手順に従います。
- ジョブのスケジュール設定画面のジョブ一覧で、目的のジョブをタップします。
- 画面右上隅にあるゴミ箱アイコンをタップします。